仮想通貨のトレードでも活かせる移動平均線は意外と奥が深い

仮想通貨

仮想通貨の取引を行う際に、Web上のチャート画面などでロウソク足とは別に1~2本の線が表示されているのを見たことがある人も多いかと思います。

これは、移動平均線と呼ばれるもので、外見こそ単純な線でありながら過去から現在に至る相場のトレンドを知る事が出来るのがウリのテクニカルです。

今回はテクニカルの中でも随一のシンプルさを持ちつつも、奥が深い移動平均線の読み解き方と売買シグナル、相性が良く併用したいテクニカルについてまとめました。




移動平均線とは

最もシンプルかつポピュラーなテクニカル指標の1つであり、世界中多くのトレーダーが注目しているのが「移動平均線」です。

これは株式やFXに限った話ではなく仮想通貨の取引においても同様で、取引所で使えるツールの多くやWeb上で閲覧できるチャートなどでも最初から設定されている事も多いなど、トレーダーが最も注目しているテクニカル指標の1つでもあります。

1本の線がレートに合わせて上下に動くだけという非常にシンプルなテクニカルですが、他のテクニカルとの併用や移動平均線同士の相互併用による予測など、汎用が効く非常に奥の深いテクニカル指標でもあります。

また、移動平均線の動き方は他のテクニカル指標でも似た動きをするものが多いため、移動平均線はまさに初歩の初歩、最初の覚えるべきテクニカル指標の1つと言っても過言ではありません。




移動平均線の主な設定方法

移動平均線を設定する際に必要になる情報は1つ、「計算を行う期間」のみです。

設定する期間に変化を加えることにより、短期~長期まで様々な移動平均線を表示する事が出来ます。

例えば、10分足で設定期間を7とした場合には直近から70分前までの終値を平均したものが連続して線になったものが移動平均線となります。

同様に日足なら直近から過去7日間、1時間足なら直近から過去7時間分の平均値を繋げたものが移動平均線を形作ります。

移動平均線を使う際に設定する期間としてメジャーなものは、5、25、75、200などがあります。

また、人によっては7の倍数や5の倍数を好む人もいます。

移動平均線の種類

移動平均線には計算方法によっていくつかの種類があります。

1つ目は単純に終値を平均化しただけの「単純移動平均線(MAもしくはSMA)」、2つ目は期間によって倍率をかける事で直近の価格を重視した分析が出来る「加重移動平均線(WMA)」、3つ目は直近の価格のみ2倍する事で加重平均線以上に直近の価格を重視している「指数移動平均線(EMA)」の3種類があります。

いずれも一長一短ですが、3種類の中でも特に人気が高く、多くのトレーダーたちが注目しているのが指数移動平均線と言われています。

指数移動平均線は価格の動きに対して緩やかな表示になる事が多いため、一見すると分かり辛いようにも感じますが、多くのトレーダーが注目しているという性質上、指数移動平均線の形は意識される事が多く、他の移動平均線よりも機能し易い傾向があるため、おすすめのテクニカル指標の1つです。

3本を1組として使うのがベター

移動平均線を用いた取引を行う場合、短期・中期・長期の移動平均線を1本ずつ、合わせて3本の移動平均線を扱うのがベターな方法です。

3本の移動平均線を使う事によるメリットは、全体の流れに逆行したエントリーなどを防ぐ、あるいは把握できる点にあります。

長期線は長期の流れを、中期線は中期の流れといったようにそれぞれの設定期間の大きな流れを可視化してくれるため、これらの方向性が異なる場合、例えば長期で見ると上昇トレンドなものの、中~短期的には下降トレンドである場合などをしっかりと把握することにより、無用な逆張りトレードをしないですむようになります。

移動平均線同士のクロスで方向性を予測する

移動平均線を用いた売買シグナルとして有名な物に、ゴールデンクロスとデッドクロスが存在します。

ゴールデンクロスは上昇する短期の線がそれよりも長期の線を下から上へと抜く形でクロスした際のシグナルで買いのシグナルの1つです。

デッドクロスはその逆の形に当たり、下降する短期の線がより長期の線に対して上から下へと抜いた際のシグナルで売りのシグナルとなります。

このシグナルの注意点としては単純なクロスではなく、あくまでも上昇あるいは下降しながらクロスした際に初めてシグナルとして機能する点にあります。

また、このシグナルはいずれも発生頻度が多い反面、クロス後すぐに反転するダマシも多いため、他のテクニカルと併用して判断材料を増やしておくのがおすすめです。

なお、このシグナルは必ずしも短期と中期の線がクロスした場合に限らず、短期線と長期戦のクロスや中期線と長期線がクロスした場合にも同様に売買シグナルとして考えられます。

ロウソク足と移動平均線との位置関係から予測する

相場の急な変動により、短期の移動平均線とロウソク足が大きく離れる現象の事をオーバーシュートと呼びます。

仮想通貨は元々オーバーシュートし易い傾向があるため、オーバーシュートを活かした取引は仮想通貨で利益を上げるためには重要な技術の1つです。

この現象の重要なポイントは、ロウソク足が移動平均線から大きく離れた際にはレジスタンスラインのあたりで反転し、適正レートへと戻る力が発生する点にあります。

この反転する力に乗る事で、利益を上げるのがオーバーシュートを利用した取引の方法です。

暴騰した際にはレジスタンスの位置がチャート内で判断が出来ない場合が多く、分かり辛い事があります。

そういった際には現在表示しているチャートよりも更に長い時間軸を表示し、そちらのチャートのレジスタンスを検討するのがおすすめです。

全ての移動平均線が同じ方向を示すと強いトレンドが生まれる

短期・中期・長期の3本の移動平均線が全て同じ方向へのトレンドを指した際には、パーフェクトオーダーと呼ばれ、強いトレンドが生まれたことを指します。

パーフェクトオーダーの特徴としては、次のような物が挙げられます。

  • 強いトレンドが安定して長く続く
  • 短期~中期の移動平均線が一種の抵抗帯の役割をする
  • 初動のみのダマシも多い

強いトレンドが出るため素早くトレンドに乗ってしまいたい欲求にかられますが、初動のみパーフェクトオーダーを作り、すぐにクロスするパターンもあるため、初動で形が出たからといって安易に乗ってしまうと損切する事になり易く注意が必要です。

パーフェクトオーダーを形成した際のエントリーは、短期線や中期線が抵抗帯の役割をするため、そのタイミングに合わせた押し目買いや戻り売りによる順張り方式のトレードが基本になります。

併用して使いたいテクニカル

移動平均線はトレンド系と呼ばれるタイプのテクニカルです。

トレンド系のテクニカルは基本的に相場の方向性を知るためのもので、細かいエントリーポイントなどを把握する用途には向いていません。

そのため、細かいエントリーポイントを発見する事が得意なテクニカル指標との相性がいい傾向があります。

また、移動平均線の難点であるシグナルが出るのが遅い点をフォローするために、MACDなどと併用するのも効果があります。

その他、RSIのような移動平均線の苦手なレンジ相場に強いテクニカルと併用するのも効果的です。

まとめ

移動平均線は、仮想通貨の取引用ツールやWebチャートでも初期から表示されている事から分かる通り、仮想通貨の取引においても相場のトレンドを知るために使う事が出来ます。

移動平均線の読み解き方を知るだけでも、仮想通貨のトレンド方向が格段に分かりやすくなるため、取引で上手く利益を積み重ねることが出来ていないと言う人は一度移動平均線を用いてトレンドの方向を知る事から始めてみるのもおすすめです。






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