仮想通貨のトレードで損失を増やす原因になる「確証バイアス」とは
仮想通貨のトレードを行う際に知っておきたいワードの1つとして「確証バイアス」という言葉があります。
確証バイアスは、投資をするうえで非常に気を付けたい心理状態の1つであり、これが起きると人は利益を積み上げることが難しくなるとされています。
今回は、損切りし辛い心理が働くなど仮想通貨のトレードにおいて重要になる心理の1つ、確証バイアスについてまとめました。
目次
確証バイアスとは
確証バイアスは仮想通貨の取引に限らず、FXや株式投資など投資の分野では様々な所で登場するワードですが、本質は認知バイアスの1つであり、認知心理学や社会心理学といった学問で使用される用語です。
確証バイアスについて端的に表すとバイアス(偏り)という名称の通り、「自分に都合のいい情報だけを収集・信用し、都合の悪い情報をシャットアウトしてしまう」という状態になる事を指しています。
例えば、ビットコインが上がると判断して注文を出した後はレートが下がってしまっている状況下であっても、あくまでも「ビットコインが上がるという予想」に関連した情報ばかりを優先してしまい、逆に自分にとって都合の悪い情報である「ビットコインが下がる可能性」について言及した情報を無視する、そういった情報から遠ざかってしまう、といった行動が確証バイアスに該当します。
確証バイアスがもたらすデメリット「損切りが出来ない」
確証バイアスに陥る事によって客観的な判断が出来なくなった場合に発生するデメリットには様々なものがありますが、その中でも特に分かりやすいデメリットの1つが「損切りが出来なくなる」という物です。
損切りが出来なくなる一番の要因として、確証バイアスは先にも書いた通り、基本的に情報を客観的に判断することが出来なくなり、最終的には「自分にとって都合の良くない情報」をシャットアウトしてしまうという点にあります。
そのため、確証バイアスに陥ってしまった場合にはポジションが含み損になってしまっている状態にあっても自分がエントリー前に行った予測が間違っていた可能性を示唆する情報をシャットアウトしてしまい、自分が予測を間違えた事を認めるまでに時間がかかってしまいやすく、結果として損切りに踏み切るまでの時間が大幅に長くなってしまいます。
確証バイアスによる損切りの遅れを防ぐ方法
確証バイアスに陥ってしまう事で、損切りするのが遅れてしまい損失が増加するのを防ぐ方法としてすぐに実践できる方法としては、自分の中で利食いや損切りのルールを厳格に定めてそれをひたすら徹底するという物があります。
OCO注文などで発注段階で決済の注文を並行して行う事が出来る場合には、それらの注文を使用することでエントリーの時点で利食い・損切りのラインを決めておくのも効果的ですが、この場合にもOCO注文の設定を解除・変更してしまったりと言う事があるため、100%確実な方法にはなり得ない点には注意が必要です。
また、長くポジションを持ち続けていると不思議とそのポジションに対するある種のこだわりや愛着、悪く言えば執着が生まれてしまい損切りが出来なくなってしまうため、ポジションの限界保有時間を設けておき、規定時間が経過したら決済するのもおすすめです。
確証バイアスがもたらすデメリット「情報の精査が出来なくなる」
確証バイアスがもたらすデメリットとして根本的なものの1つに「情報の精査が出来なくなってしまう」という物があります。
こちらはエントリー前などに起きることが多く、このパターンで間違った方向にエントリーを行った事で含み損が重なった所から派生して上述の損切りが出来なくなるパターンに進んでしまう事も珍しくありません。
無意識に自分に不利な情報を無視するフィルターをかけるという確証バイアスの仕組みが如実に現れたデメリットで、今後の市場の方向性の予想などを行う際に大きな枷になる可能性があります。
対処法としては、全ての情報に目を通すことに心がける事に加えて、SNSなどで繰り広げられている自分のエントリータイミングやポジションの話などを極力スルーして、自分が出した結論を重視する考え方にシフトするのがおすすめです。
確証バイアスで情報の精査が出来なくなるのを防ぐ方法
確証バイアスによって情報の精査が出来なくなる事を極力防ぐ方法として、「情報はあくまでも情報であり、答えではない」という点を常に意識し、あくまでも集めた情報から自力で分析を行い、答えを出すことが重要です。
特に、有名なトレーダーの相場予想などはそれ自体が答えになるような錯覚を覚えてしまいやすいですが、仮想通貨のチャートはそれだけ実力のあるトレーダーでさえもあっさりと外してしまうほど動きやすいため、情報に対する過信は余計な損失を生む原因にしかなりません。
また、そういった情報そのものに頼りがちになってしまうと情報の配信が止まってしまった時には何も出来なくなってしまうため、情報はあくまでも情報と割り切って、それらの情報を元に分析を行うように心がけておくのがおすすめです。
また、相場予想などの情報は常に自分に都合の悪い情報を意識的に目を通しておく事や、自分の予想とは全く異なる動きをする事を常に意識しておくのも重要です。
取引を始めるよりも前にも確証バイアスは存在する
確証バイアスはあくまでも心理学などの分野であるため、仮想通貨の取引に参加するよりも前の段階でも発生しうる可能性があります。
例えば、仮想通貨の取引を始めるよりも前、取引に自分も参加すると決心する段階でも確証バイアスは発生しうる可能性があります。
そうなってしまうと人間は「素人でも稼げた」「未経験でも何百万儲かった」という自分に都合のいい情報だけを集めるようになってしまい、そういった成功談の裏に存在している失敗して退場した人たちの情報をシャットアウトし、仮想通貨の取引において「巷で言うようなリスクは殆ど無い」という錯覚に陥ってしまう事があります。
そのため、これから仮想通貨の取引を始めようと思っている人は、成功した人の情報だけでなく、失敗して退場する事になった人達が居る事、なぜ退場する事になったのかなど、仮想通貨の取引に参加する事のメリットとデメリットの両方の情報も併せて知っておくことが重要になります。
損失が増えると確証バイアスに陥りやすくなる
確証バイアスに陥りやすくなる原因の1つとして挙げられるのが、損失が増える事です。
仮想通貨で初めて投資の世界に足を踏み入れた人の多くは、取引を始めた最初のうちは損失が出ても冷静に自分が何故損失を出してしまったのかと言う点を考えるだけの余裕がありますが、何度も続け様に損失が出てしまうと思考は猛烈なスピードで冷静さを失い、エントリータイミングの見極めが甘くなってしまいます。
そうなると、損失が冷静さを失わせ、冷静さを失った事で損失を生むという悪循環にはまってしまい、最悪の場合には投入した金額全てを失い退場する事になります。
そうならないためにも、仮想通貨の取引を初めてすぐの頃の損失が生まれることによるリスクにメンタルがまだ慣れ切っていない間は、レバレッジを落とすなど損失が生まれにくくなるような対策を行っておくのがおすすめです。
確証バイアスを完全に防ぐ方法は無い
非常に厄介な効果を生み出す確証バイアスですが、これを完全に防ぐ方法はありません。
むしろ、人の思考によって生まれる認知バイアスの1つであるため、人の思考が取引に介入する限りは必ず発生すると言ってもいいものです。
その一方で確証バイアスに陥ってしまう可能性を極力抑えるたり、確証バイアスから抜け出すために出来る事は多く、ここまでに挙げたような「意識的に不利な情報を集める」「ルールの徹底を図る」「メンタルが慣れるまではレバレッジを落として損失を減らす」といった方法をはじめ、単純に一旦取引を止めて寝たり、気分転換を行うだけでも効果があります。
また、一度目の取引が終わった後は結果に関係なく少し時間を空けて、メンタルをデフォルトの状態にリセットするように努めるのもおすすめです。
まとめ
確証バイアスは投資関係に不慣れな人が陥りやすく、初めて仮想通貨の取引に触れた人が無意識に陥ってしまいがちな失敗の1つと言っても過言ではありません。
それと同時に、仮想通貨の取引をしていくのであればずっと付き合い続けなければならない人の本能的な側面の1つでもあります。
完全に抑えることはできないため、実際に起きた時にすぐに退くことが出来るように日頃からしっかりと対策をしておきつつも「いつかは大なり小なり起きるもの」として割り切り、あまり気負い過ぎずに取引に臨むのがおすすめです。