RPAとAIの違いとは? 実際の事例を元にRPAを導入するべき業務を解説

RPA

人手不足が叫ばれる現代、人工知能やロボットの導入が急務になっています。

最近ひそかに注目をあつめ、成果も挙げているのが「RPA」です。

RPAも人時短縮、業務効率化に非常に有効なものですが、ではAIとの違いとは何なのでしょうか。

今回はいまさら聞けないRPAとAIの違いと、RPAが特に生きる分野について解説します。




RPA、AI共々人間を助ける技術

昨今、景気の悪化や少子化の影響で人手不足が深刻化し、「人手不足倒産」などという恐ろしいワードがトレンド入りすることも多くなってきました。

時代の移り変わりと共に人の求める労働環境が変わり、どうしても企業は後手後手になりがちです。

そこで昨今注目されているのが、人工知能やロボットの導入です。

基本的には別物で、任せるべき仕事も違う

主に産業利用されているのは「AI」や「RPA」と言われる技術で、どちらも人を助ける技術だということには変わりありません。

しかし明確に別な物で、与えるべき仕事はまったく変わってきます。

実際どちらにどういう特徴があり、自分の任せたい業務にどちらが合っているのかということを理解しておかなければ、理想と違っていたり、余計なコストをかけてしまうことにもなりかねません。

まずはどちらにどういう特徴があるのか理解しておきましょう。




AIやRPAに任せられる仕事のレベル

残念ながらAIやRPAは、まだ完全に人間の代わりとして仕事を任せられるほどにはなっていません。

しかし、一点に集中すれば人間よりも優れたシステムは構築されつつあります。

特に、これまで人間がやっていた面倒な作業の自動化に関しては、人間の手の及ばないレベルのスピード化が実現しています。

システムの自動化は、主に3つのクラスに分けられます。

クラス1(RPA)

もっとも単純な作業に当たるのがクラス1で、RPAはこれに当たります。

そもそもRPAとはこのクラスの処理ができるシステム、通称「Robotic Process Automation」の略称です。

AIとRPAの大きな違いはこの自動化のクラスで、クラス1ではいわゆるルーティーンで決まった業務を処理することに特化しています。

たとえば物流で考えると、荷物Aを受領したら、担当者1に入荷の連絡をする。

荷物Bを受領したら、担当者2に入荷の連絡をするといった具合です。

突然指示されていない荷物Cが来たとしても、勝手に処理してくれることはありません。

このため、あらかじめ荷物Cが来る可能性を考えて、システムに組み込んでおく必要があります。

逆に言えば単純作業には特化していて、プログラムも単純なので汎用性が効き、コストは抑えられるメリットもあります。

クラス2(EPA)

クラス2からAIの領域で、ある程度自分で考えて行動することができます。

クラス2は「Enhanced Process Automation」と言われる技術で、RPAと違い教えられた処理だけにとどまりません。

たとえば上記の物流の例で言えば、荷物AとBに加え、稀にCやDが来ることを学習し、荷物C、Dの処理方法を学習して適用したり、自分で荷物Cを担当者に割り振りすることまでできます。

AIの判断の元になっているのがビッグデータです。

ビッグデータは簡単に言えばAIが判断の基にするために必要な膨大な量のデータで、AIはこれがなければ判断の最適化はできません。

AIとRPAの壁もここにあって、ビッグデータを元に自分で考えられるのがAI、支持された仕事をこなすのがRPAとなります。

クラス3(CA)

AIとRPAの違いは理解いただけたと思いますが、せっかくなのでクラス3についても解説しておこうと思います。

クラス3の自動化は「Cognitive Automation」と呼ばれ、AIの一種になります。

EPAよりも、さらに細かいデータから的確な判断を行えるようになっています。

ここでも物流の例で言うと、荷物Aを担当者1に渡しているが、重たい荷物を持たせると担当者1の業務効率は下がっている傾向があるので、今後は荷物の重量に関わらず業務が遂行できている担当者2に重量物を回すようにするなど、ビッグデータを利用した多角的な判断ができるのがクラス3です。

人間が介入しなくてもそこまで深く判断してくれるなら夢のような技術に思えますが、実は身近なところにもクラス3のAIは導入されています。

たとえばセブンイレブンでは、昨対比や天候に合わせた入荷判断はこれまでも行われてきましたが、現在では競合他社の商品展開や、イベントによる人の流れまで加味した発注の自動化まで実験的に導入されています。

理想的ではありますが、すべての元になっているのはデータで、それを解析するのがAIの仕事です。

このためデータ取得自体にもコストがかかり、システム開発にも時間とコストがかかることになります。

AIが必ずしも優れているわけではない

説明したとおり、業務の簡略化の面ではAI技術、なかでもクラス3のCAが優れているように思えます。

ならば、CAを導入するべきかと言うと、それはまた違う判断が必要になります。

RPAが注目されている影には、逆にビッグデータを使用しないことによるメリットもあるのです。

単純作業の簡略化はAIよりもRPAが優れている

AIは自己判断ができる、つまり人間では目の及ばないデータまで含めて判断することができます。

しかし、ルーティーンとなっている簡単な作業だけを見れば、AIは必要でしょうか。

AIやRPAの原則は「人間の業務のサポート」です。

つまり、人間がやるべき作業工程の一部を代替したい場合は、新たな提案よりも間違いのない効率的な作業のほうが生きる場合があります。

先ほどの例で言えば、シフトの関係で荷物Aは必ず担当者1に割り振りしなければいけないという事情がある場合、AIで新しい提案は必要ありませんよね。

ここに余計な判断が入ることで、後の作業でも人間が新たに判断しなければいけない事項が増えることになります。

このため、単純作業に関して言えばAIよりもRPAのほうが適していると考えられます。

実際の導入事例としては、税務調査などのデータから、異質なものを抽出して担当者や該当者に確認を促すといったものがあります。

ビッグデータの取得がしにくい分野ではRPAが生きる

AIは、判断材料に情報(ビッグデータ)が必須です。

しかし、どのような業務においてもビッグデータが生まれるかと言うと、そういうわけではありませんよね。

たとえばお客様の問い合わせに対してAIを導入した事例もありますが、基本的な判断はお客様からの問いに対しての返答になるので、AIが自動的に解釈する必要はありません。

お客様の問い合わせに対して新たな提案をしたいと言う場合には、お客様の求めるものに対して、パターンを分析して好評なものや最適なものを提案する場合にはAIがおすすめです。

ビッグデータは、昨今PAYPAYが巨額を投じてビックデータの取得を狙ったことからもわかるとおり、ビッグデータ取得自体にお金がかかります。

ビッグデータを使用しないことはコスト削減にも繋がるので、なるべくコストをかけたくないというときも必然的にRPAが有効ということになります。

人対人以外の業務ではRPAが生きる

RPAと人間の行える業務の大きな違いとしては、相手の考えを読めるかどうかにあります。

RPAはあくまでも指示された作業を処理するのに適しているだけで、相手が求めていることはまったく関係なく支持されたことのみ処理します。

このため、対お客様への業務に関しては、RPAはほとんど使えないと言ってもいいでしょう。

RPA導入で成功する事例をまとめると、データを取得する、データを書き込むなどといった「システム⇔人」の相互方向のやりとりにおけるものが多く、情報を検索する、まとめると言った作業の簡略化に適しています。

つまり事務作業にあたるものを簡略化できるので、事務員の人手不足に悩んでいる場合や、現場作業員が事務作業に人時を割き過ぎている場合にも生きてくるでしょう。

まとめ

AIとRPAは根本的に違うもので、生きてくるシーンも違います。

技術的に優れているAIがどんなシーンでも有効と言うわけでもなく、むしろシンプルなRPAのほうが有利なシーンや、RPAでなければならない業務も存在します。

まずは業務の中で問題になっている部分を割り出し、システム開発会社に相談してみましょう。

参考URL・参考文献・根拠など

導入事例
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
RPA、EPA、CAの略称やクラスの確認など
https://www.capa.co.jp/archives/25632
その他ITパスポート試験で得た情報を含みます。






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