スーパーボリンジャーを使って仮想通貨の取引を有利に進める
ボリンジャーバンドから派生したテクニカル分析の1つに「スーパーボリンジャー」と呼ばれるものがあります。
スーパーボリンジャーは仮想通貨の取引においてはあまりメジャーなテクニカル分析ではありませんが、適切な使い方をすることで有効に作用する可能性のあるテクニカル分析です。
今回は、スーパーボリンジャーの読み取り方と、仮想通貨の取引に使用する際の使用方法についてまとめました。
目次
スーパーボリンジャーとは
スーパーボリンジャーは、その名称の通りボリンジャーバンドから派生したテクニカル分析で、現在のチャートが進む方向について知ることを得意とするトレンド系に属するテクニカル分析の1つで、売買のタイミングや全体的な相場観の把握などに力を発揮するテクニカル分析です。
通常のボリンジャーバンドを構成する要素に加えて時間分析の要素を追加すること派生したテクニカル分析で、マーフィーの名で知られている他、テクニカル分析の1つ「スパンモデル」を開発した事でも有名な日本人トレーダーの柾木利彦氏が開発しました。
名称としては「スーパーボリンジャーバンド」と呼ばれる事もありますが、基本的には縮めて「スーパーボリンジャー」と呼ばれる事が一般的です。
また、基本的には同氏開発のスパンモデルとの併用が前提となっているため、2つで1つという他のテクニカルとは異なる要素を持ったテクニカル分析です。
ボリンジャーバンドに遅行スパンが追加
スーパーボリンジャーでは、通常のボリンジャーバンドに使用されていた中心線や±1~3σに加えて、一目均衡表などで利用される遅行スパンが追加されています。
これによって、スーパーボリンジャーを構成する要素は次の8つになっています。
- 中心線
- +1~3σ
- -1~3σ
- 遅行スパン
の8つによって構成されています。
通常のボリンジャーバンドと共通している中心線と±1~3σに関しては通常のボリンジャーバンドのものがそのまま採用されており、スーパーボリンジャーで新たに追加された要素である遅行スパンはローソク足の終値を過去一定期間分遅らせたものが使用されます。
また、遅行スパンの設定値としては最もメジャーなものが21本とされており、多くの場合はデフォルトで21に設定されているため、この数値を変更する必要はありません。
スパンモデルとの併用が前提
スーパーボリンジャーは基本的な部分をボリンジャーバンドと共有しているため、テクニカル単体での使用やボリンジャーバンドの代わりに他テクニカルと併用して使用するという方法が可能ですが、この方法はあまりおすすめではありません。
スーパーボリンジャーが最も高いパフォーマンスを発揮するのは、このテクニカルの開発者である柾木利彦氏が開発した別のテクニカルである「スパンモデル」との併用を行っている場合だとされています。
スパンモデルとの併用時にはスパンモデルが細かいエントリータイミングの判断を担当し、スーパーボリンジャーはそれを補助する位置を担当します。
例えば、長い足のチャート(日足など)でスーパーボリンジャーを用いて大きなトレンドの方向を把握し、短い足のチャート(30~60分足など)でスパンモデルを使用することでエントリーや利食い・損切りのタイミングを判断する、といった使い方があります。
基本的な使い方はボリンジャーバンドと同様
スーパーボリンジャーは基本的な部分でボリンジャーバンドを共通の仕組みを利用しているため、基本的な使い方もボリンジャーバンドと同じ使い方をすることが出来ます。
中心線は移動平均線と同様の計算方法によって作られているため、中心線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド、といった形で読み取る事が出来る他、中心線がローソク足の下にある際は強気、上にある場合には弱気として判断する事が出来ます。
また、基本的な売買のシグナルについても通常のボリンジャーバンドと同様に扱う事が出来るため、ブレイクアウトからの±2σ抜けを意識した順張りのエントリーや±3σ抜けからの反転狙いの逆張りでのエントリーなど、そのまま使う事が出来ます。
遅行スパンの使い方
スーパーボリンジャーにおいてキモとなるのが、通常のボリンジャーバンドにはない遅行スパンと呼ばれる要素です。
遅行スパンは、ローソク足との位置関係を読み取る事で現在の相場において買いと売りのどちらが優勢なのかを知ることが出来る他、レンジ相場の有無についても知ることが出来ます。
トレンド相場の場合、遅行スパンとローソク足の位置関係は若干離れた位置関係になります。
買い勢力の力が強い上昇相場の場合、遅行スパンはローソク足よりも上に位置する形になり、売り勢力のほうが力が強い下降相場の場合には遅行スパンはローソク足よりも下に位置するようになります。
また、方向性を出さずに上限と下限が一定の値幅で上下しているレンジ相場の場合、遅行スパンはローソク足から大きく離れず、絡み合った形になります。
遅行スパンを用いた転換サイン
遅行スパンとローソク足の位置関係によって相場の現在のトレンドを把握する事が出来るというのは既に触れましたが、その仕組みを利用することでトレンドが転換したタイミングを知るためのサインとしても使う事が出来ます。
例えば、ローソク足よりも下に遅行スパンがある場合やローソク足と絡み合っている相場から遅行スパンが上方向へと延びてローソク足を上抜いた場合(遅行スパンとローソク足のゴールデンクロス)、現在のトレンドが終了し上昇トレンドへと転換したサインとなります。
逆にローソク足よりも上にあった遅行スパンがローソク足を下抜いてクロスした場合(遅行スパンとローソク足のデッドクロス)には下降トレンドへの転換サインとなります。
また、トレンドの終了サインとしても機能するため利食いや損切りのサインとしても活用する事が出来ます。
デメリットはチャートに設定できる取引所は殆ど無い点
スーパーボリンジャーのデメリットとして、ベースとなっているボリンジャーバンドと比べると若干マイナーな部類に入るため、既に市場の規模が大きいFXの取引業者などとは異なり、仮想通貨の取引所ではデフォルトで使用できない所が多いという点があります。
そのため、仮想通貨のチャートでスーパーボリンジャーを使用したい場合には、仮想通貨のチャート配信を行っているFX業者などを利用し、そちらのチャートでスーパーボリンジャーを使いつつ、取引所で取引をするという形をとる必要があります。
FX業者などが配信している仮想通貨のチャートは、業者側でどこの取引所のレートを配信しているかについて明言している事が多いため、取引所と合ったものを使用するのもおすすめです。
また、取引所が異なる場合には細かいレートの差によって損失が出る可能性があるため、ある程度長めの取引を重視するなど、レートの差を打ち消せるだけの利益を得る必要があります。
自力でスーパーボリンジャーを再現する
スーパーボリンジャーの基本的な仕様は、通常のボリンジャーバンドに一目均衡表の遅行スパンを併せたものになっています。
そのため、現在使用している取引所でスーパーボリンジャーが設定・使用できない場合でも、通常のボリンジャーバンドに一目均衡表の遅行スパンのみを重ねて表示することで、スーパーボリンジャーとほぼ変わりない内容のテクニカルを使う事が出来るようになります。
ただし、この方法が取れるのはテクニカルを設定する際に必要な要素のみを表示するようなカスタム機能を有している所のみに限られる点と、スパンモデルとの併用が難しい点(2つは併用前提であり、片方が無い場合もう片方も無い事が多いため)には注意が必要です。
遅行スパンの期間設定などによって多少表示に変化が出てしまうため、数値の細かい設定が必要になる事もありますが、数値の差によって結果に大きな差が出ることは少ないため、心配はいりません。
まとめ
スーパーボリンジャーは仮想通貨の取引においてはまだまだマイナーなテクニカルであるため使用できる取引所も多くありませんが、単体でも使いやすく、ボリンジャーバンドに慣れた人ならすんなりと馴染む事が出来るテクニカルです。
時間分析の要素が追加されたことにより、トレンドの転換や終了のサインが見極めやすくなっているため、トレンド終わりの利食い・損切りを徹底したい人にもおすすめのテクニカルです。