作業が飛躍的に楽になるRPA!運用時のメリットと注意点について解説!
RPAは冗長で退屈なデータ作りを自動化できる優秀なツールです。
同じ作業を繰り返す場合に導入すると非常に役立ってくれるでしょう。
ですがどのようなものにもリスクは潜んでいるもので、RPAも例外ではありません。
便利な道具だからこそ懸念される問題点もしっかりと把握して運用していくことが肝要です。
今回はそんなRPAを利用することのメリットと注意点についてみていきましょう。
時間のかかる単純作業を自動化
RPAというのは「ソフトウェアロボットによるプロセスの自動化」のために作られたツールです。
というと難しそうな気がしてきますが、もっと簡単に表現するなら「同じ過程をを経て作られる資料を自動で作ってくれるプログラム」といえるでしょう。
例えば顧客リストがあるとして何人かの顧客から同じ発注を受けたとします。
実際に社員が顧客の元に赴いて作業するための指示書が必要な場合には、この顧客リストを元にして指示書を作る必要があるでしょう。
この指示書の作成作業は「顧客リストから指示書のフォーマットに各項目を記入していく」というプロセスを踏むことになります。
そしてRPAは正にこうした同じ作業を繰り返す場合に適用することができるのです。
まず事前の準備として、顧客リストの中から発注のあったデータを抜き出して発注者リストを作っておきます。
また指示書のフォーマットも必要です。
そしてRPAに「発注者リストから指示書に項目をコピーしていく」という設定を施します。
これは1度設定してしまえばその後ずっと使いまわすことが可能です。
作成した設定に従うようRPAを起動すると発注者リストと指示書フォーマットを開き、発注者リストから各項目をコピーして指示書フォーマットにペーストしていくことになります。
1枚完成したら2枚目に移り、発注者リスト通りに全て指示書が作られるはずです。
こうした作業は人力で行うと簡単なのにも関わらず時間を浪費していくため、自動化させることで社員は大きく助かるでしょう。
ヒューマンエラーの余地がない
RPAを利用すると作業を完全にコンピューターが行ってくれるため、人間由来のミスが入り込む余地は全くなくなります。
人間は単純作業をしていると次第に疲弊していき別の箇所をコピー&ペーストしたり、入力すべき箇所が空白になったりするものです。
ですがコンピューターは疲れ知らずで同じ作業が得意、というか単純作業をする上で人間がコンピューターに勝てるわけがありません。
またヒューマンエラーは決して軽視できるものでもありません。
例えば先述した指示書の例を考えてみると、もし間違った指示書を作ってしまうと現場に向かう社員とその指示書に記載されている顧客に迷惑をかけることになります。
現場にいる社員としては完全に無駄な時間を過ごしたことになりますし、タイミングが悪ければ顧客の期限を損ね解約されてしまう可能性も考えられるのです。
特に上流工程に位置する指示書を作成する場合にはほんの少しのミスが大きな損害を出しかねず、信頼を損なう結果を招くこともあるため注意が必要となります。
そしてRPAを導入すればこうしたミスはなくなるのです。
作業効率を上げるためだけでなく、ヒューマンエラーを回避するという意味でもRPAを使う意味はあるといえるでしょう。
設定時にはテストが必須
RPAを使えばヒューマンエラーは存在しなくなると述べましたが、それはあくまでも「上手くRPAを設定できた場合」にのみ限ります。
あくまでもRPAの設定をするのは人間で、人間はヒューマンエラーを起こすものですから設定時にこそ気をつけなければなりません。
もしRPAの設定が間違っているまま大量のデータに対して運用した場合、大量の間違ったデータが作成されることになります。
直ぐに気付けば良いのですが、RPAを信頼しきっている場合には発見が遅れる可能性も十分に考えられるでしょう。
そのためRPAにより作成した資料は早い段階でチェックしておくことが必要かもしれません。
もしくは事前に小規模なテストをしておけば重大な事態を避けることができるでしょう。
仕様変更への対応も必須
例えば作り出すデータの使用に追加項目を加えるよう要請があった場合、それまでのRPAは使えなくなります。
一刻も早くRPAの再設定をしなければ旧データを延々と作り続けることになるでしょう。
もしくは旧データの上に社員が1枚1枚手書きで追加項目を加えるということにもなるかもしれません。
そうなると作業効率化というよりは作業の冗長化を招いてしまいます。
RPAは比較的扱いの簡単な道具なので多くの社員でも設定できるようにしておくと良いのかというとそれはそれで問題で、今度は別のリスクが浮上してくるのです。
情報操作によるリスク対策
RPAを誰でも扱えるようになった場合、設定を勝手に変更されてしまうというリスクが大きくなります。
データ作りの根幹ともいえる道具ですし、項目を1つ削除されるだけでも資料として機能しなくなるでしょう。
先述の指示書の例でいえば「住所を転記する」というプロセスを消されてしまうと指示書として使えなくなってしまいます。
設定のヒューマンエラーなのか悪意ある改ざんなのか、どちらの場合であっても結果として大きな問題を招いてしまうでしょう。
そのためやはりRPAを設定する担当者を任命する必要がありそうです。
誰でもが設定を変更できる状況は情報管理のリスクを考える場合、好ましいとはいえません。
ではどうすれば良いのかというと、作成するものの仕様変更に余裕をもてば良いでしょう。
思いつきではなくしっかりと仕様を策定し、きちんと担当者が設定できるだけの時間的余裕をもたせて運用していくのです。
大きな影響をもたらすRPAには慎重な運用姿勢が求められます。
ドキュメントは作っておくべき
担当者といえども人間なので、何らかの理由によりその業務から外れて後任へ引き継ぐ場合も考えられます。
そのとき、きちんと引き継ぎができないとRPAの運用に支障をきたすようになるでしょう。
RPAは便利な道具ではあるのですが、部署や企業によって独自のフォーマットの資料を作る場合には特殊な設定がされているものです。
引継ぎをスムーズにするためにはドキュメントが何よりの参考資料となるはずです。
作成する資料ごとに作成手順を記したドキュメントがあれば引き継ぎもスムーズなものとなり業務が停止することはないでしょう。
誰にでも設定できるようにするとリスクが生まれますが、後任へ受け渡すための設定方法を記したドキュメントは作成しておくべきです。
機能は肥大化させないように
RPAはマウス入力やキーボード入力のみならず各種ソフトウェアを起動してソフト間のデータのやり取りを行えるという万能な道具です。
そのためあらゆることをRPAに任せることができるように思われるかもしれませんが、それはある程度のところで抑えておくと良いでしょう。
プログラミングの世界ではプログラムの作り込みをしていく上でスパゲッティ化という現象に悩まされることがあります。
これはプログラムに様々な機能を整理しないまま作ってしまうことで可読性が著しく低下する現象で、調整しようにもどこから手をつければ良いのか分からなくなったりするのです。
RPAもプログラムのように何でもできてしまうのでスパゲッティ化しないように気をつける必要があります。
適材適所な使い方が理想
RPAを運用するとその便利さに驚くかもしれませんが、その用途はしっかりと見極めるようにしましょう。
特殊な処理を無理矢理設定したり、本来任せるべきではなさそうな処理は人の手でやった方が確実です。
もちろんRPAは適したところに用いれば飛躍的に業務を効率化することができます。
その範囲を限定するにも事前にしっかりと考慮することをおすすめします。
まとめ
RPAのメリットと注意点についてみてきました。
同じ作業を繰り返すタイプの処理にRPAは向いており、ヒューマンエラーも避けることができます。
ですが設定自体は慎重に行う必要があり、担当者の引き継ぎのためにはドキュメントも作成しておくと良いでしょう。
何でもこなせるRPAを上手く使えばとても便利ですが引き起こされる問題も大きなものとなります。
リスク対策をよく考えながら運用していきましょう。