仮想通貨の取引に慣れてきた頃にやりがちな「コツコツドカン」とは
仮想通貨を始めとした投資の世界で語られる失敗談の1つとして「コツコツドカン」と呼ばれるものがあります。
名前の通り、コツコツと利益を重ねていたのに、一度の失敗が大きすぎてこれまでの利益が0になったり、マイナスにまでなってしまったりする事を指しています。
今回は、これまでの利益を一瞬で消し飛ばしてしまう可能性のある失敗「コツコツドカン」が発生する原因と、それを防ぐために出来ることについてまとめました。
目次
慣れてくるとありがちな「コツコツドカン」とは
仮想通貨の取引に初めて参加した初心者が少しずつ利益を出す方法を理解し、取引そのものにも慣れてきた頃にやってしまいがちな代表的な失敗例の1つに「コツコツドカン」と呼ばれる現象があります。
コツコツドカンには、いくつかのパターンがありますが、その中でも代表的なものが「取引を始めてからコツコツと1回1回は小さいものの着実に利益を積み上げた事である程度の利益が手に入ったタイミングで、ドカンと大きな損失が1回生まれてしまう」というパターンです。
また、これ以外のパターンとしては、1回の利益に対して1回の損失が大きすぎるパターンなど、複数のコツコツドカンと呼ばれる現象がありますが、どのパターンでも共通しているのが「利益が小さく、損失が大きい」という点です。
コツコツドカンが起きる仕組み
コツコツドカンが起きる仕組みとしては、先にも書いた通り「利益が小さく、損失が大きい」という点が最も大きなポイントになります。
まず第1段階である小さい利益を沢山得る「コツコツ」の部分は、含み益に耐えることが出来ず、含み益が小さい時点で焦って利食いに走ってしまうメンタルが生まれることによって作られます。
しかし、大抵の場合、少額ではあるもの着実に利益が積まれているため、その姿勢に問題を感じることはまずありません。
そして、第2段階として大きな損失を生む「ドカン」の部分は、過去に「ある程度上手くいった取引」という物を知っているため、多少の含み損が生まれていても、すぐに反転するだろう、という意識が生まれる事で、損切りが遅れる事によって発生します。
この2つが連鎖して起きることによって、利益が小さく損失が大きい状態が生まれます。
逆に言えば、この2つの状態のバランスをしっかりと形成する事によって、コツコツドカンが起きる可能性はかなり減らすことが出来ます。
含み益に耐えられない
コツコツドカンが起きる原因の1つである「1回当たりの利益が小さい」というはメンタルが含み益に耐えられない状態であるからこそ起きるものです。
「含み益に耐えられない」という文面ではイマイチ意味が分かり辛いですが、これが指しているのは現時点から逆行してしまう事で「今ある含み益が減ってしまう事に耐えられない」という状態です。
そうなってしまうと、どうしても長時間ポジションを持つことが怖くなってしまい、結果として利食いのタイミングが先行してしまい、利益が小さくなってしまいがちになります。
利食いをした後になってから更に伸びる事が多く、「ああ、もう少し決済するのを待っていればもっと利益が増えたのに」と感じるような取引が多い人は、決済のタイミングをもう少し分析するなどの対策が必要になります。
含み損に耐えすぎてしまう
コツコツドカンが起きるもう1つの原因が、「1回当たりの損失が極端に大きい」という部分です。
これは、含み益の時とは逆に「含み損に耐えすぎてしまう」ことによって起きています。
こちらはそのままの意味で、含み損が発生しているにも関わらず、楽観的な考えによって含み損を持ちすぎてしまい、結果的に損切りが大幅に遅れてしまう状態です。
損切りが遅れてしまう理由としては、過去にコツコツと利益を積み上げているという多少の実績や自信、悪く言ってしまえば過信や自惚れが生まれている事で、余計に「この後は自分の予想通りの方向に戻るかもしれない」という楽観的な視点になり易い事が原因の1つとして挙げられます。
また、コツコツと利益を上げていた間に起きた小さい損失の際に「損切り後に反転して狙い通りの方向へ」というタイプの取引を経験していると、「多少の損失が出ても長く持っていれば利益につながる」と錯覚してしまいやすいため、このタイプの損失が出る事が多い人は、魔が差して損切りを遅らせてしまう可能性があるため、注意が必要です。
ペイオフレシオを考えた取引ルールを作る
コツコツドカンにならないような取引をするための方法としては、取引そのものの技術を鍛える事も勿論重要ですが、日ごろからペイオフレシオ(損益率とも言います)についての理解を深めておくことがとても重要になります。
ペイオフレシオは「勝取引の平均利益÷負取引の平均損失」で求める事ができ、この数字が大きくなれば大きくなるほど、利益が大きく損失が小さいタイプの取引が出来ている事の証になります。
逆にこの値が1よりも小さい場合には利益が小さく損失が大きい、いわゆるコツコツドカンタイプの取引をしている可能性が高いと言えるため、過去の取引を振り返ってどの程度になるのか計算してみるのもおすすめです。
また、勝率などによって大きく変化するため、一概にペイオフレシオはこのくらいの値がベストという値があるわけではありませんが、参考までに「勝率が50%、ペイオフレシオが2~3程度」あればかなり安定して利益を積み上げる事が出来るとされています。
一緒に覚えておきたい「プロフィットファクター」
ペイオフレシオと併せて意識しておきたい要素として、プロフィットファクターと呼ばれるものがあります。
こちらは「勝ちトレードの総利益÷負けトレードの総損失」で求める事ができ、この数字が1を超える事で最終的に資産が増えていき、ジャスト1では±0に、1未満になると資産が徐々に減っていくことになります。
ペイオフレシオに似た感じがするため分かり辛いですが、ペイオフレシオは1回ごとの取引の評価値であるのに対して、プロフィットファクターは取引全体の効率を示したものになります。
そのため、プロフィットファクターの値が低い人は、効率の悪い取引スタイルを取っているという事になります。
こちらも勝率やペイオフレシオによって多少の差が生まれるため、一概に理想値という物は存在しないものの、最低でも1.5以上は欲しいとされる事が多いです。
エントリーする理由をはっきりさせる
コツコツドカンを起こす人に多い傾向として、チャートを眺めつつ「大きく動いたからエントリーする」というその場その場の雰囲気に流された取引を行ってしまう傾向があります。
このタイプの人は勢いで取引をしているため、勢いに乗れている間の成績は悪くない反面、相場の流れが変わると対応出来なかったり、そもそも変化している事自体に気づけておらず、結果として大きな損失を出してしまったりする事があります。
コツコツドカンを極力起こさないように取引するためには、その場その場のローソク足の小さい動きに誤魔化される事なく、あくまでも自分の中で組み上げた戦略に基づいた取引を行うのがおすすめです。
また、エントリーする際は、自分が何故そのタイミングでその注文を出したか、その理由を説明できるくらいのレベルを目指すのがおすすめです。
OCO注文を活用する
コツコツドカンにおいて怖いのは、損失の額が大きすぎる点にあります。
そのため、極端な話として仮に1回の利益が小さい取引が多い場合でも、勝率に合わせて1回あたりの損失額をコントロール出来ているのであればコツコツドカンが起きる事はありません。
そこで活用したいのがOCO注文です。
OCO注文は「One Cancels the Other (Order)」の略で、指値注文と逆指値注文の両方を同時に発注し、片方の注文が約定したときにもう片方の注文を自動的にキャンセルする注文方法です。
これを利用することで、5000円の利益が出たら利食いの注文を自動で行い(指値注文)、予想と逆行して2500円の損失が出た場合には自動で損切りの注文を行う(逆指値)といった事が可能になります。
自動で利食い・損切りが行える事でペイオフレシオを管理し易いため、含み益をすぐに利確してしまったり、含み損を持ちすぎてしまったりする傾向がある人は併用してみるのがおすすめです。
注意点としては、OCO注文を使えない取引や取引所、使えるものの予め所定の設定をする必要がある場合など、違いが多いため使用する前にはしっかりと確認するのがおすすめです。
まとめ
コツコツドカンは自分が仮想通貨の取引で堅実に得てきた利益を一瞬で消し飛ばす可能性がある、非常に恐ろしい失敗です。
また、利益だけを失うだけに留まらず、それがトリガーとなって今後の取引の成績にまで悪い影響を与える可能性があるため、事前の対策が重要になります。
コツコツドカンをやってしまう人は、勝率そのものは優れている事が多く、自分では気がつきにくい事が多いため、毎日の取引の日記をつけておき、ペイオフレシオやプロフィットファクターの状態を監視するなどの客観的に判断できる対策をしておくのがおすすめです。