仮想通貨の取引を始める前に知っておくと便利な6つの事
仮想通貨の取引は始めるだけなら口座を開設し、資金を振り込むだけで簡単に始める事が出来ますが、だからといって利益を重ねる事も簡単にできる訳ではありません。
中には知っておいたほうが取引する上で役立つ知識であっても、特に説明されていないものも少なくありません。
今回はそういった仮想通貨の取引を始める前に知っておいた方がいい6つの事についてまとめました。
目次
pipsの概念を使ってみる
仮想通貨の取引においてはあまり利用されない概念の1つとして「pips(ピップス)」という物があります。
pipsは通貨の最小単位の100分の1を1pipsとした単位で、本来は為替取引を行う際に使用される単位です(日本円なら1銭=1pips、ドルなら0.01セント=0.0001ドル=1pipsといった計算方法)。
1日の値動きの幅が1円前後と小さい為替レートと異なり、日に数千円単位でレートが動く事の多い仮想通貨ではそこまで小さい単位を使用する必要性は薄いため、基本的には仮想通貨の取引をする際には利用されない単位ですが、一方でトレードの実力を客観的に判断するためには非常に有用な方法の1つでもあります。
なぜpipsを使うと客観視できるのか
pipsを使用する最大の利点はレバレッジなどを考慮せずに「取引開始から決済までのレートの差」のみを注視するという性質から、自分の実力が分かりやすくなる点があります。
例えば、10倍のレバレッジをかけている人が1倍の人と同じタイミングで取引をした時には10倍の利益を得ることが出来ますが、取引の規模の大小を考慮しないのであれば、根本的な部分では同じ取引となります。
そういった際に、pipsを用いた評価ではあくまでもレートの差で判断するため、2人は利益こそ10倍の差があるものの、取引の能力そのものに関しては同じである、という見方をする事が出来ます。
このようにして、pipsを利用することによって「自分は利益を得ているから仮想通貨の取引が上手い」といった勘違いをする事を防ぐことが出来るため、取引を客観視した際に自分はどの程度の取引が出来ていたのか、を知りたい際には仮想通貨の取引であってもpipsを利用した計算方法は非常におすすめです。
レバレッジを設定する際の注意点
仮想通貨の取引では本来の資金よりも多くの資金を利用する事が出来るレバレッジが存在し、現在の国内の取引所では最大25倍まで利用可能になっており、4万円の資金で最大100万円分の取引を行う事が可能になっています。
レバレッジの設定は基本的にスキャルピングのような超短時間で決済を行う際には、20倍を超えるようなレバレッジに設定し、逆に「ガチホ」と呼ばれるような長時間の取引をする際には極力低い倍率(1~3倍程度)で取引するのが理想的とされていますが、これは取引にかなり慣れた後に行うのがおすすめです。
少額で利益が出せるという点から、どうしても高めのレバレッジにしてしまいがちですが、初めて触る場合には取引スタイルに関係なく極低いレバレッジでの取引をするのがおすすめです。
なぜ最初は低レバレッジがいいのか
この理由としては、仮想通貨の取引をする際に発生する損失などのリスクは自分の資金を取引によって市場に晒す時間と量の2点によって発生し、どちらかが大きくなればなるほど大きなリスクが生まれる点にあります。
そして、初めて仮想通貨の取引をする際はどうしてもエントリーや損切り、利確などをうまく進める事が出来ないため、取引時間が長くなりやすい傾向にあります。
そのため、レバレッジを下げることによって市場に晒す資金だけでも小さくし、リスクを小さく抑える必要が生まれます。
また、最悪のケースとしては大量の資金を長時間市場に晒すこと、つまり高レバレッジでの長時間取引を行う事が挙げられます。
もちろん、読み通りにトレンドが生まれていけば大きな利益を得ることが出来ますが、高レバレッジではロスカットされるまでのラインが非常に小さくなる事から、些細な逆行でもロスカットされる事になるため、リスクの大きさは計り知れないものになります。
そのため、利益を重ねる事が目的の場合には全くおすすめできません。
スプレッドの存在を忘れてはいけない
仮想通貨の取引を行う際に忘れてはいけないのが、スプレッドの存在です。
スプレッドは取引一回ごとにかかる手数料のようなもので、購入時のレートに上乗せされる形で発生します。
スプレッドの存在によって仮想通貨の取引を行う際には購入直後は必ず含み損からスタートし、スプレッド分のレート変動が起きた時点で初めてプラマイゼロの状態になります。
例えば、スプレッドが10,000円の場合に100,000円で購入した仮想通貨で利益を得るためには最低でも10,001円分の値動きが起きないと利益が発生しません。
そのため、テクニカル分析などを用いて相場の方向性を読む際にも、最終的な利益を得るためには最低でもスプレッド分を超える値動きが起きる事を予測しなければならない点には予め注意が必要です。
また、スプレッドは仮想通貨の取引の場合には店頭取引で行う場合にのみ発生するものであり、ユーザー同士で行われる板取引では発生せず、より安価な取引手数料になる事が多いため、取引に自信がある人は板取引が使用できる取引所で取引するのもおすすめです。
長期取引の際はスワップポイントの存在を加味する
スプレッドと並んで忘れてはならないのが、スワップポイントです。
FXなどで使用している用語で通貨間の金利の差によって生まれるものを指しており、1日ごとに通貨単位あたり一定額が付与される形になっています(実際この金利の差を利用した長期取引も存在しています)。
仮想通貨にもスワップポイントが存在しており、こちらも同様に1日ごとに設定された金額分のスワップポイントが付与される形になっていますが、仮想通貨の場合には多くが売買ともにマイナスのスワップポイントが設定されているため、1日を超えてポジションを保有しているとマイナスのスワップポイントが積みあがる事になります。
そのため、仮想通貨で長期の取引を行う際には予め「スワップポイントで損失が生まれる」という点を理解し、最悪の場合にはレート差で得た利益がスワップポイントで相殺される可能性も考慮する必要がある点には注意が必要です。
仮想通貨はレートが動きやすい時間が存在する
仮想通貨の取引は日本だけでなく世界中の国々で行われており、基本的には市場が止まる事は休日を除いてほとんどありません。
1日の取引を時間帯ごとに分けると、朝7時から昼間を挟んで16時までが東京時間、16時から20時程度までが欧州時間、20時から翌4~5時程度までがニューヨーク時間という形になり、それぞれの時間帯によって参入してくる市場に変化があります。
同時に、仮想通貨の取引市場に参加する人数なども変化するため、レートの動き方にも変化が生まれるため「動きやすい時間帯」と「そうではない時間帯」が生まれます。
その中でも特に動きが大きくなりやすいのがアメリカの市場が一斉に開く20時以降です。
この時間帯からはレートの動きが活発化する傾向が強く、東京時間や欧州時間で生まれた流れを一気に否定したり、一方的な値動きになったりと上手くトレンドに乗れれば利益を上げやすい時間帯になります(NY時間は日本の兼業トレーダーたちが帰宅して参加し始める時間帯でもあります)。
日本国内だからとどうしても東京時間でのトレードを気にしてしまいがちですが、それ以外の時間帯の傾向も知っておくと更に利益を重ねやすくなるためおすすめです。
利益が出たら納税する義務が生まれる
日本国内で仮想通貨の取引をする限り絶対に逃れることの出来ないものとして、一定以上の利益を得た場合には納税する義務が生まれます。
仮想通貨の場合には、基本的には1年間の利益が20万円を超えた場合に確定申告を用いて納税する義務が生まれます。
なお、海外の取引所を使っている場合でも、日本に住んでいる場合には日本の法律が適用されるため、日本への納税が必須となる点にも注意が必要です。
確定申告をし忘れたり、納税が怠った場合には追加の税金が発生する事があるため、確定申告の期間をしっかりとチェックしておくようにしましょう。
確定申告に必要になる書類に関してはフリーソフトなどで簡単に制作できるため、そういったものを利用して製作するのがおすすめです。
ちなみに、仮想通貨の取引によって得た利益は雑所得扱いの総合課税対象になるため、累進課税が適用されます。
そのため、利益を出せば出すほど多くの税金が必要になる(例えば4000万円超では税率45%前後になります)ため、利益が沢山出たからといって一気に使ってしまうと、翌年の税金が支払えないという事になるため注意が必要です。
まとめ
仮想通貨の取引は一見すると簡単に見えるものの、スプレッドやスワップポイントなど独特の仕組みも多く、最初はどうしても戸惑いやすい部分があります。
特にスワップポイントなどは予め知っているかそうでないかで決済する際の利益の差にまで関係してくるなど、知識の差が非常に大きな差になる要素になっているため、予め頭に入れておいたり、デモトレードを繰り返してしっかりと理解しておくのがおすすめです。